
妊娠・出産費用は医療費控除の対象か、ご存知ですか?
そもそも医療費控除とは?今回は、知らないと損する税金の話です!
医療費控除とは?
医療費控除とは、ご自身や生計を一にする配偶者・その他の親族のために使った医療費が、基準となる金額を超えた場合、所得から控除が受けられる制度です。

医療費を多く支払った分、税金の負担が軽くなる制度と覚えましょう!
家計が家族の分も対象になる点がポイントですね!
「所得から控除が受けられる」とは、具体的には、
- 会社員の場合、給与天引きされている所得税の還付が受けられる
- 個人事業主の場合、納める税金が少なくなる(節税になる)
といった効果があります。
所得税だけでなく、翌年6月以降に支払う住民税も安くなるため、その効果は絶大です。
ただし、勝手に所得税の還付もしくは節税になるのではなく、医療費が多くかかりました!と申請する必要があります。
ここから、控除となる要件や計算、手続き方法を詳しく見ていきましょう。
どんな人が控除の対象になる?
簡単に言うと、納税をしている人のうち、その年の1月1日から12月31日までの間に、ご自身やその家族の医療費を多く支払った方が対象です。
基準となる医療費の金額は、所得によって2パターンです。
- 所得の合計金額が200万円以上
- 支払った医療費が10万円を超える場合、申告可能
- 所得の合計金額が200万円未満
- 支払った医療費が所得の5%を超える場合、申告可能
どのくらい還付が受けられる?計算方法は?
医療費控除の金額は、以下の方法で計算します。
- 所得の合計金額が200万円以上
- 支払った医療費の合計 ー 保険金等で補てんされる金額 ー 10万円
- 所得の合計金額が200万円未満
- 支払った医療費の合計 ー 保険金等で補てんされる金額 ー 所得の5%

つまり、補てんされる金額を除いて、
10万円または所得の5%を超える医療費を支払った場合、医療費控除の対象になりますね!
保険金等で補てんされる金額とは、生命保険から支給される入院給付や、健康保険から支給される高額療養費・出産育児一時金などの金額を指します。
- 入院・手術に100万円支払い、保険金が50万円支給された
- 医療費:100万円 ー 保険金:50万円 ー 10万円
- 医療費控除の金額 = 40万円
- 出産費用を55万円支払った
- 出産費用:55万円 ー 出産育児一時金:42万円 ー 10万円
- 医療費控除の金額 = 3万円
あくまで上記は医療費控除の金額のため、その金額がそのまま還付されるのではなく、医療費控除の金額に所得税率等をかけた金額が還付または節税となります。
また、医療費控除の金額は、最高200万円です。

所得税は、所得が多くなるほど税率が上がるため、家族で合算して医療費控除を受ける場合、
所得が多い人が支払い、確定申告した方が還付金も多くなります。
例えばどんなものが対象?
医療費控除の対象となるものは、例えば以下のような内容です。
医療費控除の対象となる例
- 医師による治療費
- 通院や入院のための交通費
- 入院時の費用(入院料や食事代)
- 風邪薬などの医薬品の購入
- 治療のための歯科矯正
医療費控除の対象とならない例
- 健康診断の費用
- 医師等に対する謝礼金
- 通院のための自家用車のガソリン代や駐車場代
- 入院時の身の回りに必要な備品の購入や病院食以外の出前等
- ビタミン剤などの病気予防、健康増進のための医薬品の購入
- 美容目的の歯科矯正

基本的に、目的が治療であればOK、予防や美容目的であればNGですね。
また、一般的な水準を超える特殊なものも認められないとされています。
手続きの方法は?
医療費控除は、確定申告をする必要があります。

確定申告、やったことないよ・・・という方も問題ありません!
スマートフォンでも申告ができますし、入力も簡単です!
会社員の場合の還付金を受け取るまでの流れを簡単にまとめます。
- 1月1日〜
12月31日医療費の通知や明細を集める- 確定申告時、以下の項目を入力する前提で集めましょう。
- 医療を受けた方の氏名
- 病院・薬局などの支払先
- 医療費の区分
- 支払った医療費の額
- 補てんされる金額
- 確定申告時、以下の項目を入力する前提で集めましょう。
- 翌年
1月1日以降医療費控除の対象か、医療費を計算する- 補てんされる金額を除いて、10万円または所得の5%を超える医療費を支払っているかを確認します。
- 1月1日〜
3月15日確定申告をする- ご利用の機種によってはスマートフォンからの申告も可能です。
- 会社員の場合、給与所得の源泉徴収票等が必要です。
- 1〜2ヶ月後還付金が振り込まれる
- 電子申告の場合は、最短3週間ほどで振り込まれます。
医療費の領収証は5年間の保管が必要です。
確定申告後に捨ててしまわないように注意しましょう!
妊娠・出産費用は対象?
妊娠・出産にかかる費用については、妊婦健診や検査などの費用、通院費用など、医療費控除の対象になります。
ただし、保険金等で補てんされる金額は除きますので、健康保険から支給される出産育児一時金や高額療養費などの金額を差し引いた残りの金額が対象です。
妊娠・出産費用で対象となるものの例
- 妊婦健診の費用
- 妊娠悪阻や切迫早産などの治療費や入院費
- 通院、入院のための交通費(電車、バス等の移動が困難なときのタクシー代も含む)
- 医師、助産師等による分娩にかかる費用
- 入院料や入院時の食事代
妊娠・出産費用で対象とならないものの例
- 妊娠検査薬の購入費
- 医師等に対する謝礼金
- 里帰り出産のための帰省にかかる費用
- 入院時の身の回りに必要な備品の購入や病院食以外の出前等

交通費は領収書のないものも多いため、忘れずにメモしておきましょう!
私も、夜中に破水して陣痛タクシーを呼びましたが、領収書だけは忘れずに受け取りました!
終わりに
今回は、医療費控除についてまとめました。
妊娠・出産は予想外の出費がかかる場合もあります。
制度を正しく理解・活用して、金銭面の負担をできるだけ少なくできるといいですね!

私も1人目、2人目出産時に医療費控除を利用しました!
知らなきゃ損!
